火山列島日本の食
 
   稀有な風土がもたらす食のにぎわい


築地書館 2025年11月刊行
定価:本体 2000円+税 200ページ  
著者:井上 栄 氏(S33年卒)
 第15回 一紅会 春の講演会にて
   (2012年3月10日開催)
「小子化日本を救う「母子手帳教育」とは
 との演題にて講演いただきました。
国立感染症研究所名誉所員、
大妻女子大学名誉教授
甲府一高S33年卒
東京大学医学部卒業、同大学院博士課程修了
著者からのメッセージ
 日本列島の自然は、住民に恵みと災いとをもたらしてきました。最大の恵みは、水田稲作と考えます。海から蒸発した水分を含む風が高い火山にぶつかり雪と雨をもたらし、その水は溶岩のリンとカリを下流の水田に運び、肥料無しでの稲作を継続させてきました。今後地球的規模で起こるであろう食糧問題を考えると、国民が輸入小麦より国産米を優先して食べることの重要性を知っておく必要があります。
 一方、火山があることは、時折起こる噴火・地震・津波による巨大自然災害に関係しています。この「天恵と天災の国」の風土が、日本人の思考・行動様式に与えてきた影響も考察しました。
 現在、人類の活動が盛んになり、地球環境への影響が無視できないものになっています。かつて哲学者・和辻哲郎や物理学者・寺田寅彦は、日本の風土の特徴を述べました。言語学者・鈴木孝夫は2014年、「日本人の伝統的な生き方を、フロンティアなき過密状態となった地球上での、これからの人類の生き方のモデルとして世界に提示すべきと考えているのです」と言っています。これら先人の考えも紹介しました。
将来を担う若い人たちに読んでもらいたく思っております。お薦めいただけたら幸いです。
           二〇二五年秋 吉日     井上栄
 本の裏表紙に掲載された著書紹介文
 肥沃な火山島であるジャワ島の水田の豊かさに驚いた著者は、似た気候であるはずのタイで赤茶けたハゲ山の風景に愕然とする。

ジャワ島で毎年稲作を続けられる理由は何なのか――。
自国にもどり緑あふれる景色をみた著者は、日本がジャワ島と同じく「水と火山の島」であることに気づきある仮説を立てる。
――火山列島日本では、火山噴出物が植物の生長に欠かせない肥料分を恒常的に補給してきたのではないか?
火山の恵みで豊かな水田稲作が可能になった越中国(富山県)砺波(となみ)平野、火山灰の恩恵を受けた武蔵野台地の畑作、米食で不足するタンパク質を補った大豆や魚介の栄養、米からつくられる日本酒の製造工程など、日本食文化の基本が満載。
火山の風土が育んだ日本の食文化と日本人の精神文化に迫る。
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