山梨日日新聞 2013年6月8日掲載 | 山梨県人会連合会 会長 弦間 明 |
「愛」の精神が活動の原動力 | |
例年、東京で開催していました山梨県人会連合会の総会を初めて、ふるさと山梨で開催させていただき、感慨もひ としおです。今回ふるさと山梨で開催させていただく意図は、首都圏で生活している県人会の皆さまとともに、あら ためて、ふるさと山梨の素晴らしい自然景観、伝統文化、最先端テクノロジーなどを五感で感じ、それを広めること が、ふるさと支援につながるという思いであります。 今、ふるさと山梨には、ビッグイベントが二つ進行しています。一つ目は、1月12日から11月10日まで開催されて いる、第28回国民文化祭「富士の国やまなし国文祭」です。初めての通年開催であり、また、季節ごとにテーマを設け、 各地でさまざまなイベントが進行中です。 二つ目は、富士山の世界化遺産登録です。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関である、イコモス(国際 記念物遺跡会議)から世界遺産委員会への勧告があり、6月16日からカンボジアのプノンペンで開かれる会議で、 世界遺産一覧表への記載の可否が決定する運びです。これまで以上に国内外から注目され、多くの人々に訪れて いただき、ふるさと山梨の魅力を満喫していただく千載一遇の機会が到来しております。今こそ85万人の山梨県民 そして首都圏120万人の山梨県人を合計した200万人の力、つまり、一昨年「ふるさとリンケージ200構想」と名付けた、 人間力と組織力を結集し、私たち一人一人がふるさと山梨の魅力の伝達者となり、全国に、アジアに、世界にアピール するときであると思います。 私たち連合会は、「ふるさとリンケージ200構想」を具体的・継続的に推進していくために「リンケージ(つな がり)」のアルファベット「L」「I」「N」「K」 「A」 「G」「E」の頭文字7文字を順次キーワードとして、インパク トのある活動を推進していきます。そこで本年度は、最初のLにちなんだ「Love Yamanashi」に重点を置いて活動して います。そして次年度は、「I」にちなんだキーワードを作成し、活動します。このキーワード「Love・愛」の解釈 について、小説家の有島武郎氏は「愛するということは、相手のすべてを奪って自己のものにしようとすることである」 と主張しています。 しかしながら、ふるさとへの愛は「見返りを求めずに与えるものであり、与え続けることが、自らの幸せと考える」 ものです。私たちは、この精神でふるさと山梨を支援し続けたいと思います。そして、この想いこそが、山梨県人会 連合会の活動を支える原動力です。 現在の山梨県人会連合会の歴史とは異なるものの、私たち連合会の源泉となる昭和初期の「山梨縣人會聯合會」に ついて紹介します。私たちの先輩ともいえる、この会の会長は初代の根津嘉一郎氏であったと聞いております。 昭和7年11月20日付の設立趣意書が現存しておりました。 趣意書の一部には、「交誼ヲ深フシ、更二親陸ヲ敦フシ、頼ツテ以テ各自ノ進路ニ、一層ノ向上發展ヲ期セントス」 また「夫レ孤立ハ、其志ヲ成ス所以ニアラズ、…和衷協同、以テ共存共榮ノ實ヲ擧ケンコトヲ庶幾フト爾云」 と記述されています。 現代の言葉に言い換えれば、「親しいお付き合いをして親陸を深め、各自の人生の豊かな発展を願う、孤立して は、この志を成すことにはならない、心を同じくして共に力を合わせ、共存共栄の実を挙げることを切に騎う」とい うことです。 まさに現在の私たちの想いと80年以上前の志は同じであり、さらに意を強くしたと同時に、この想いを次世代へ引 き継ぐ責任を痛感した次第です。 山梨県人会連合会は、各地区の県人会、女性の会、青年部、そして新たに発足した弁護士・公認会計士などが集う 十士会など、55の単位県人会、3万5千人の会員が積極的に活動しています。この活力を基に、県人会連合会の活動 もより活発になるのです。各県人会の皆さま方に、一層のご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申しあげます。 |